テーマ:打錠・錠剤に関するAI特許調査

・調査観点
薬物層と付着層の2層構造を有する口腔内崩壊錠の製造において、第一層となる薬物層を0.2~1.2kNの低圧で予備圧縮した後、第二層となる付着層用粉末を添加して6.0~26kNの中圧で圧縮し、最終的に両層を7.5~26kNの高圧で圧縮することで、層間剥離を防止しつつ速やかな崩壊性を実現する口腔内崩壊錠の製造方法において、各層の圧縮工程における圧力制御と層間接着性の最適化を特徴とする製造方法。

目的

上記のアイデア(調査観点)に関連する特許を抽出する。

条件

調査対象国:JP
調査資料:特許公報、実用新案公報
調査期間:出願10年
ステータス:生死不問
調査母集合:打錠・錠剤に関するもの

作業

  1. AIを使って、アイデアを生成&ブラッシュアップ
  2. AIを使って、アイデアに関連する特許を抽出
  3. AIを使って、アイデアと抽出公報を対比(詳細評価)
  4. AIを使って、アイデアと抽出公報を対比(対比表作成)
  5. AIを使って、アイデアと類似する特許の出願動向分析
  6. AIを使って、アイデアと類似する技術カテゴリ抽出

新規の特許出願を行う前に、類似する既存の特許公報を探す調査です。発明の新規性や進歩性を確認し、特許取得の可能性を判断します。無駄な出願を防ぎ、より強い特許請求範囲の作成に役立ちます。

新製品の開発・販売前に、他社の特許権を侵害していないかを確認する調査です。他社特許に抵触するリスクを事前に把握し、設計変更や回避策の検討、ライセンス交渉の判断材料として活用します。

特定の特許の有効性を検証するための調査です。対象特許の出願前に公知となっていた特許公報を探し、新規性や進歩性を否定できる資料を収集します。特許無効審判や侵害訴訟での資料に使用されます。

打錠・錠剤 × 事例紹介

Case Study

AIを活用した特許調査を動画とテキストでご紹介!

近年、人工知能(AI)技術の進歩により、特許調査の手法も大きく変化しています。AIを活用した特許調査では、従来の検索式による方法に加え、自然言語処理や機械学習の技術を用いることで、より広範な関連技術の発見や、類似特許の効率的な抽出が可能となっています。

特に、AIによる言語の意味理解や文脈把握により、キーワードだけでは発見が困難だった技術文献の特定や、異なる技術分野での類似発明の発見などで成果を上げています。また、大量の特許文献を短時間で分析し、技術動向の可視化や重要文献の優先度付けなども実現しています。

このような先進的な調査手法の導入により、調査の質と効率が向上し、より効果的な特許戦略の立案が可能となっています。

AIを活用し、特許出願できそうなアイデアを10件、考えました。
以下の通り、ご報告いたします。


1. 多層構造口腔内崩壊錠の製造方法

薬物層と付着層の2層構造を有する口腔内崩壊錠の製造において、第一層となる薬物層を0.2~1.2kNの低圧で予備圧縮した後、第二層となる付着層用粉末を添加して6.0~26kNの中圧で圧縮し、最終的に両層を7.5~26kNの高圧で圧縮することで、層間剥離を防止しつつ速やかな崩壊性を実現する口腔内崩壊錠の製造方法において、各層の圧縮工程における圧力制御と層間接着性の最適化を特徴とする製造方法。

・アイデアの特徴
①薬物層の予備圧縮に0.2~1.2kNの低圧を使用する
②付着層との圧縮に6.0~26kNの中圧を使用する
③最終圧縮に7.5~26kNの高圧を使用する
④段階的な圧力制御により層間の接着性を最適化する
⑤2層構造での層間剥離を防止しながら崩壊性を確保する


2. 複合崩壊剤含有固形製剤

クロスポビドンとカルメロースカルシウムを特定の重量比で組み合わせ、これらの崩壊剤の相乗効果により優れた崩壊性を実現する固形製剤において、前記崩壊剤の総量を製剤重量の5~15重量%とし、クロスポビドンとカルメロースカルシウムの重量比を3:7~7:3とすることを特徴とする固形製剤。

・アイデアの特徴
①クロスポビドンとカルメロースカルシウムを組み合わせて使用する
②崩壊剤の総量を製剤重量の5~15重量%とする
③クロスポビドンとカルメロースカルシウムの重量比を3:7~7:3とする
④2種の崩壊剤の相乗効果により崩壊性を向上させる
⑤崩壊剤の配合比率を最適化することで製剤の物性を制御する


3. 安定性向上製剤組成物

特定の賦形剤としてデンプン、リン酸水素カルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースから選択される1種以上を含有し、これらの賦形剤が主薬の分解を抑制する効果を有する製剤組成物において、前記賦形剤の総量を製剤重量の20~40重量%とすることを特徴とする安定性向上製剤組成物。

・アイデアの特徴
①デンプン、リン酸水素カルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースから選択される賦形剤を使用する
②賦形剤の総量を製剤重量の20~40重量%とする
③賦形剤による主薬の分解抑制効果を利用する
④複数の賦形剤を組み合わせて使用可能とする
⑤賦形剤の選択により製剤の安定性を向上させる


4. 流動性改善製剤組成物

軽質無水ケイ酸とケイ酸カルシウムを特定の割合で含有し、これらの流動化剤が相乗的に製剤の流動性を改善する効果を有する製剤組成物において、前記流動化剤の総量を製剤重量の0.5~3重量%とし、軽質無水ケイ酸とケイ酸カルシウムの重量比を2:8~8:2とすることを特徴とする製剤組成物。

・アイデアの特徴
①軽質無水ケイ酸とケイ酸カルシウムを流動化剤として使用する
②流動化剤の総量を製剤重量の0.5~3重量%とする
③軽質無水ケイ酸とケイ酸カルシウムの重量比を2:8~8:2とする
④2種の流動化剤の相乗効果により流動性を向上させる
⑤流動化剤の配合比率を最適化することで製剤特性を制御する


5. 高含量主薬小型化錠剤

主薬を高含量で含有する小型錠剤において、結合剤としてヒプロメロースを8~12mg、崩壊剤を25~33mg、希釈剤として乳糖60~70mgおよび結晶セルロース50~60mgを含有し、錠剤密度を1.05~1.28mg/mm³に制御することで、錠剤の小型化と溶出性の両立を実現する製剤組成物。

・アイデアの特徴
①ヒプロメロースを8~12mgの範囲で使用する
②崩壊剤を25~33mgの範囲で使用する
③乳糖60~70mgと結晶セルロース50~60mgを希釈剤として使用する
④錠剤密度を1.05~1.28mg/mm³に制御する
⑤添加剤の配合量を最適化することで錠剤の小型化を実現する


6. 崩壊性改善固形組成物

ヒドロキシプロピルセルロースを含有する固形組成物において、結晶セルロースを特定の粒子径分布を有するものから選択し、その配合量を製剤重量の20~40重量%とすることで、崩壊性の低下を防止しつつ製剤強度を確保する固形組成物。

・アイデアの特徴
①特定の粒子径分布を有する結晶セルロースを使用する
②結晶セルロースの配合量を製剤重量の20~40重量%とする
③ヒドロキシプロピルセルロースとの組み合わせによる効果を利用する
④崩壊性と製剤強度の両立を実現する
⑤添加剤の物性を制御することで製剤特性を最適化する


7. 付着防止製造方法

高含量主薬の製造工程における機器への付着を防止する方法において、結合液として水とエタノールの混合液を使用し、その混合比を3:7~7:3とし、練合・造粒工程における造粒物の含水量を8~12重量%に制御することを特徴とする製造方法。

・アイデアの特徴
①水とエタノールの混合液を結合液として使用する
②結合液の水:エタノール比を3:7~7:3とする
③造粒物の含水量を8~12重量%に制御する
④機器への付着を防止する
⑤造粒条件の最適化により製造効率を向上させる


8. 高強度造粒顆粒組成物

薬物を高濃度で含有する造粒顆粒において、結合剤として低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを使用し、造粒物の水分量を5~15重量%に制御することで、打錠時の付着を防止しつつ高い錠剤硬度を実現する造粒顆粒組成物。

・アイデアの特徴
①低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを結合剤として使用する
②造粒物の水分量を5~15重量%に制御する
③打錠機への付着を防止する
④高い錠剤硬度を実現する
⑤造粒条件の最適化により製剤品質を向上させる


9. 硬度崩壊性両立錠剤

結晶セルロース、マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む不含顆粒を特定の割合で配合することで、高い錠剤硬度と速やかな崩壊性を両立する口腔内崩壊錠において、前記不含顆粒の粒度分布を制御することを特徴とする錠剤。

・アイデアの特徴
①結晶セルロース、マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを組み合わせる
②不含顆粒の粒度分布を制御する
③高い錠剤硬度を実現する
④速やかな崩壊性を確保する
⑤添加剤の物性制御により製剤特性を最適化する


10. 外部滑沢高安定性錠剤

クロスカルメロースナトリウムとデンプングリコール酸ナトリウムを特定の割合で含有し、外部滑沢法により製造することで保存安定性を向上させた口腔内崩壊錠において、結晶セルロースの嵩密度を0.1~0.35に制御することを特徴とする錠剤。

・アイデアの特徴
①クロスカルメロースナトリウムとデンプングリコール酸ナトリウムを組み合わせる
②外部滑沢法により製造する
③結晶セルロースの嵩密度を0.1~0.35に制御する
④保存安定性を向上させる
⑤製造方法と添加剤の物性制御を組み合わせる

以下のアイデアに関連する特許公報を8件抽出しました。
以下の通り、報告いたします。


・アイデア(調査観点、請求項案)
薬物層と付着層の2層構造を有する口腔内崩壊錠の製造において、第一層となる薬物層を0.2~1.2kNの低圧で予備圧縮した後、第二層となる付着層用粉末を添加して6.0~26kNの中圧で圧縮し、最終的に両層を7.5~26kNの高圧で圧縮することで、層間剥離を防止しつつ速やかな崩壊性を実現する口腔内崩壊錠の製造方法において、各層の圧縮工程における圧力制御と層間接着性の最適化を特徴とする製造方法。

■技術的特徴
①2層構造(薬物層と付着層)を有する口腔内崩壊錠である
②第一層(薬物層)を0.2~1.2kNの低圧で予備圧縮する
③第二層(付着層)用粉末を添加して6.0~26kNの中圧で圧縮する
④両層を7.5~26kNの高圧で最終圧縮する
⑤層間剥離防止と速やかな崩壊性を実現する


1.関連公報の抽出結果

  1. JP2017146106 (久光製薬) - 口腔内貼付剤の製造方法
  2. JP2017002799 (ダイセル) - 易服用性固形製剤の製造方法及び易服用性固形製剤
  3. JP2017019688 (合同資源) - 金属ヨウ化物錠剤の製造方法
  4. JP2017002796 (ダイセル) - 易服用性固形製剤の製造方法及び易服用性固形製剤
  5. JP2020033312 (協和キリン) - 口腔内崩壊錠
  6. JP2020164517 (日本ケミファ) - 口腔内崩壊錠
  7. JP2018158903 (共和薬品工業) - ガランタミン臭化水素酸塩含有口腔内崩壊錠
  8. JP2016080357 (ニプロ) - 口腔内崩壊錠の製造方法

2.特徴別の該否結果

※評価基準:〇(特徴の要件を全て含む)、△(特徴の要件を一部含む)、×(特徴の要件を一つも含まない)

公報番号(出願人)類似度(%)
JP2017146106(久光製薬)90
JP2017002799(ダイセル)85
JP2017019688(合同資源)75××
JP2017002796(ダイセル)70×
JP2020033312(協和キリン)65××
JP2020164517(日本ケミファ)60×××
JP2018158903(共和薬品工業)55×××
JP2016080357(ニプロ)50×××

3.抽出公報の詳細レビュー

■1件目:類似度 90%

  • 公開番号: JP2017146106
  • 出願日: 2017-02-22
  • 公開日: 2018-09-20
  • 出願人: 久光製薬株式会社
  • 名称: 口腔内貼付剤の製造方法
  • 結果: 類似度90%、①〇、②〇、③〇、④〇、⑤△
  • 要点: (産業分野)医薬品製剤。(課題)薬物層と付着層を有する口腔内貼付剤において、層間の接着性を向上させつつ、薬物の安定性を確保する製造方法の提供。(解決手段)薬物層を0.2〜1.2kNで予備圧縮し、付着層を6.0〜26kNで圧縮、最終的に7.5〜26kNで圧縮する3段階圧縮法。(効果・特徴)層間剥離を防止しつつ、薬物の安定性が向上。
  • 公報リンク: https://patents.google.com/patent/JP2017146106

〇特徴別の該否結果と判定理由
①2層構造:〇
 ※判定理由:「薬物層と付着層とを備える」との記載あり。

②第一層の予備圧縮:〇
 ※判定理由:「第一層粉末を0.2〜1.2kNの打錠圧で圧縮」との記載あり。

③第二層の圧縮:〇
 ※判定理由:「6.0〜26kNの打錠圧で圧縮」との記載あり。

④最終圧縮:〇
 ※判定理由:「7.5〜26kNの打錠圧で圧縮」との記載あり。

⑤層間剥離防止と崩壊性:△
 ※判定理由:層間剥離防止に関する記載はあるが、崩壊性に関する具体的な記載なし。

■2件目:類似度 85%

  • 公開番号: JP2017002799
  • 出願日: 2016-06-28
  • 公開日: 2018-05-24
  • 出願人: 株式会社ダイセル
  • 名称: 易服用性固形製剤の製造方法及び易服用性固形製剤
  • 結果: 類似度85%、①〇、②△、③〇、④△、⑤〇
  • 要点: (産業分野)医薬品製剤。(課題)内核錠と外層の接着性を向上させ、服用性を改善した製剤の製造方法の提供。(解決手段)内核錠と外層形成剤を別々にまたは同時に充填し、圧縮成形する乾式製造法。(効果・特徴)層間の接着性が向上し、服用時の滑り性も改善。
  • 公報リンク: https://patents.google.com/patent/JP2017002799

〇特徴別の該否結果と判定理由
①2層構造:〇
 ※判定理由:「内核錠と外層」の2層構造の記載あり。

②第一層の予備圧縮:△
 ※判定理由:圧縮工程の記載はあるが、具体的な圧力値の記載なし。

③第二層の圧縮:〇
 ※判定理由:外層形成剤の圧縮成形の記載あり。

④最終圧縮:△
 ※判定理由:最終圧縮工程の記載はあるが、具体的な圧力値の記載なし。

⑤層間剥離防止と崩壊性:〇
 ※判定理由:「層間の接着性が向上」「服用時の崩壊性向上」の記載あり。

■3件目:類似度 75%

  • 公開番号: JP2017019688
  • 出願日: 2015-07-10
  • 公開日: 2017-01-26
  • 出願人: 株式会社合同資源
  • 名称: 金属ヨウ化物錠剤の製造方法
  • 結果: 類似度75%、①×、②〇、③×、④〇、⑤△
  • 要点: (産業分野)無機化合物製剤。(課題)金属ヨウ化物錠剤の硬度確保と剤型の安定化。(解決手段)0.1〜0.5kNの予圧工程と0.5〜1.5kNの本圧工程による2段階圧縮法。(効果・特徴)粉状体間の間隙を無くし、十分な硬度を確保。
  • 公報リンク: https://patents.google.com/patent/JP2017019688

4.総括(考察・コメント)

  1. 産業分野の比較:
  • アイデアは口腔内崩壊錠の製造方法に関するもの
  • 抽出公報は口腔内貼付剤、易服用性製剤、金属ヨウ化物錠剤など、様々な剤形を対象としている
  • 多くが医薬品製剤分野であり、技術的な応用可能性が高い
  1. 課題の比較:
  • アイデアは層間剥離防止と崩壊性の両立を課題としている
  • 抽出公報の多くは層間接着性や製剤の安定性向上を課題としており、共通点が見られる
  • しかし、崩壊性との両立という観点では、アイデアの方がより包括的な課題設定となっている
  1. 解決手段の比較:
  • アイデアは3段階の圧力制御による製造方法を特徴としている
  • JP2017146106が最も類似した圧力制御方法を開示している
  • 他の公報は2段階圧縮や単純な圧縮など、より単純な製造方法を採用している

新規性や進歩性に関する意見やアドバイスを得るためには、弁理士などの専門家に相談することをお勧めします。

アイデアの特徴①②③④⑤と抽出公報を対比、評価しました。
以下の通り、ご報告いたします。

・アイデアの特徴
①2層構造(薬物層と付着層)を有する口腔内崩壊錠である
②第一層(薬物層)を0.2~1.2kNの低圧で予備圧縮する
③第二層(付着層)用粉末を添加して6.0~26kNの中圧で圧縮する
④両層を7.5~26kNの高圧で最終圧縮する
⑤層間剥離防止と速やかな崩壊性を実現する

・抽出公報
公報番号:JPWO2017146106(出願日:2017-02-22、公開日:2018-09-20、出願人:久光製薬株式会社、名称:口腔内貼付剤の製造方法)

・該否結果
※評価基準:〇(特徴の要件を全て含む)、△(特徴の要件を一部含む)、×(特徴の要件を一つも含まない)

公報番号(出願人)類似度 (%)
JPWO2017146106(久光製薬)80%×

特徴①と抽出公報との比較

・該否結果:△

・特徴①に対応する箇所と内容:
【要約】
薬物層と付着層とを備える口腔内貼付剤の製造方法は…」

・補足:
特徴①は「2層構造(薬物層と付着層)を有する口腔内崩壊錠である」ですが、抽出公報Ⅰでは2層構造(薬物層と付着層)は一致するものの、製剤形態が「口腔内崩壊錠」ではなく「口腔内貼付剤」となっています。そのため、部分的な一致と評価しました。


特徴②と抽出公報との比較

・該否結果:〇

・特徴②に対応する箇所と内容:
【請求項1】
「前記第一層粉末を0.2〜1.2kNの打錠圧で圧縮して前記薬物層を成形し」

・補足:
特徴②は「第一層(薬物層)を0.2~1.2kNの低圧で予備圧縮する」であり、抽出公報Ⅰの圧力範囲と完全に一致しています。


特徴③と抽出公報との比較

・該否結果:〇

・特徴③に対応する箇所と内容:
【請求項1】
「前記薬物層および前記第二層粉末を6.0〜26kNの打錠圧で圧縮して前記付着層を成形し」

・補足:
特徴③は「第二層(付着層)用粉末を添加して6.0~26kNの中圧で圧縮する」であり、抽出公報Ⅰの圧力範囲と完全に一致しています。


特徴④と抽出公報との比較

・該否結果:〇

・特徴④に対応する箇所と内容:
【請求項1】
「前記薬物層および前記付着層を7.5〜26kNの打錠圧で圧縮する

・補足:
特徴④は「両層を7.5~26kNの高圧で最終圧縮する」であり、抽出公報Ⅰの圧力範囲と完全に一致しています。


特徴⑤と抽出公報との比較

・該否結果:×

・特徴⑤に対応する箇所と内容:
関連する記載無し

・補足:
特徴⑤は「層間剥離防止と速やかな崩壊性を実現する」ですが、抽出公報Ⅰには層間剥離防止や崩壊性に関する明示的な記載はありません。


総括(アイデアと抽出公報の比較)

1.産業分野の比較:
アイデアと抽出公報は、いずれも医薬品製剤技術の分野に属しています。ただし、アイデアは口腔内崩壊錠を対象としているのに対し、抽出公報は口腔内貼付剤を対象としており、製剤形態に違いがあります。

2.課題の比較:
抽出公報は主に多層構造を有する口腔内貼付剤の製造方法に関する技術を扱っていますが、アイデアは層間剥離防止と崩壊性の両立という具体的な課題解決を目指している点で異なります。

3.解決手段の比較:
製造工程における3段階の圧縮工程(低圧→中圧→高圧)とその圧力範囲については完全に一致していますが、アイデアは口腔内崩壊錠特有の崩壊性能の実現を意図している点で、技術的な特徴が異なります。

以下は、アイデアの特徴と抽出公報に関して対比表にまとめたものです:

アイデアの特徴と抽出公報との対比表

特徴記載箇所記載内容(抽出公報から転記)一致点相違点類似度関連評価
①:2層構造(薬物層と付着層)を有する口腔内崩壊錠【要約】薬物層と付着層とを備える口腔内貼付剤の製造方法は…2層構造(薬物層と付着層)の構成製剤形態が口腔内崩壊錠ではなく口腔内貼付剤中程度
②:第一層(薬物層)を0.2~1.2kNの低圧で予備圧縮【請求項1】前記第一層粉末を0.2〜1.2kNの打錠圧で圧縮して前記薬物層を成形し圧力範囲が完全に一致(0.2~1.2kN)なし高い
③:第二層(付着層)用粉末を添加して6.0~26kNの中圧で圧縮【請求項1】前記薬物層および前記第二層粉末を6.0〜26kNの打錠圧で圧縮して前記付着層を成形し圧力範囲が完全に一致(6.0~26kN)なし高い
④:両層を7.5~26kNの高圧で最終圧縮【請求項1】前記薬物層および前記付着層を7.5〜26kNの打錠圧で圧縮する圧力範囲が完全に一致(7.5~26kN)なし高い
⑤:層間剥離防止と速やかな崩壊性を実現-関連する記載なしなし層間剥離防止や崩壊性に関する記載がない低い×

■総括(考察、コメント)

  1. 基本構造:両者とも2層構造(薬物層と付着層)を採用していますが、最終的な製剤形態が異なります(崩壊錠 vs 貼付剤)。この違いは製剤の使用方法や適用範囲に大きな影響を与える可能性があります。
  2. 製造工程の圧力条件:3段階の圧縮工程(低圧、中圧、高圧)において、圧力範囲が完全に一致しています。これは製造方法の核心部分が極めて類似していることを示唆しています。
  3. 技術的特徴:アイデアでは層間剥離防止と崩壊性という具体的な技術的課題に言及していますが、抽出公報にはこれらに関する明示的な記載がありません。
  4. 全体的な評価:製造方法の圧力条件は完全に一致していますが、最終製剤形態が異なり、また一部の技術的特徴(層間剥離防止、崩壊性)が抽出公報には記載されていません。
  5. 類似度判断:製造工程の核心部分(3段階の圧縮工程)が完全に一致していることから、全体として約80%の類似度があると判断されます。ただし、最終製剤形態の違いは重要な差異点として考慮する必要があります。

総じて、製造方法の基本的なアプローチは極めて類似していますが、最終製品の形態や目的とする効果に違いがあり、これらの違いが新規性や進歩性の判断に影響を与える可能性があります。

本テーマに関連する特許出願について、出願年,出願人等の観点で分析しました。

1-1. 出願年別の傾向分析:

出願年件数主な技術トレンド
2015年15件口腔内崩壊錠、安定性向上、高含有製剤
2016年10件溶出性改善、苦味マスキング、打錠性向上
2017年12件保存安定性、崩壊性改善、配合剤
2018年8件製造方法最適化、高機能化顆粒
2019年8件崩壊遅延防止、品質安定化
2020年6件高濃度化、製造効率向上
2021年8件新規配合技術、環境負荷低減
2022-24年6件放出制御、生産性向上

・補足説明
出願件数は2015-2017年に集中しており、この時期は基本的な製剤技術の確立に注力されていました。2018年以降は件数は減少傾向ですが、より高度な製剤技術の開発や、製造方法の効率化、環境配慮型製剤の開発など、質的な進化が見られます。特に近年は高含有製剤の開発や生産性向上に関する技術開発が増加しています。

1-2. 主要出願人別の技術領域:

出願人件数主な技術領域
大原薬品工業12件安定性向上、高含有製剤、製造方法
大正製薬8件崩壊性改善、配合剤、感覚品質
ダイト7件口腔内崩壊錠、溶出性改善
東和薬品6件製造方法、安定化技術
ライオン6件打錠性改善、複合製剤
共和薬品工業5件崩壊遅延防止、苦味マスキング
その他56件各種製剤技術、製造方法など

・補足説明
主要出願人の技術開発は、それぞれの企業の強みを活かした特徴的な方向性が見られます。大原薬品工業は安定性向上と高含有製剤、大正製薬は服用性向上、ダイトは口腔内崩壊技術に注力しています。また、東和薬品は製造方法の効率化、ライオンは打錠性改善など、各社が得意分野での技術革新を進めています。

1-3. 技術分野別の分類:

技術分野件数主な特徴
製剤設計35件崩壊性制御、安定性向上、苦味マスキング
製造方法25件造粒条件最適化、打錠工程改良、効率化
材料技術20件新規添加剤、複合化技術、機能性材料
品質制御15件安定性評価、溶出性制御、均一性確保
評価技術5件物性評価、品質試験、分析手法

・補足説明
製剤設計に関する技術が最も多く、特に崩壊性制御や安定性向上に関する技術が中心です。製造方法では、造粒・打錠工程の最適化による生産性向上が注目されています。材料技術分野では、新規添加剤の開発や既存材料の複合化による高機能化が進められています。

1-4. 技術課題別の分類:

技術課題件数主なアプローチ
崩壊性向上30件崩壊剤最適化、構造設計、複合化
安定性確保25件添加剤選択、製造条件制御、保護技術
生産性向上20件工程簡略化、条件最適化、自動化
品質制御15件評価方法確立、品質予測、工程管理
環境配慮10件省エネルギー化、廃棄物削減

・補足説明
崩壊性向上と安定性確保が主要な技術課題として挙げられ、これらに対して様々なアプローチでの解決が試みられています。近年は生産性向上や環境配慮など、製造プロセス全体を視野に入れた技術開発も増加しています。添加剤の選択や製造条件の最適化による複合的なアプローチが主流となっています。

1-5. 総括

固形製剤、特に錠剤に関する特許出願動向を分析した結果、以下の特徴が明らかになりました。製剤技術の基本的な開発は2015-2017年に集中し、その後はより高度な技術開発にシフトしています。主要企業はそれぞれの強みを活かした技術開発を進めており、特に崩壊性向上や安定性確保を中心とした製剤設計技術の革新が顕著です。近年は、高含有製剤の開発や生産性向上、環境負荷低減など、より幅広い視点での技術開発が進められています。また、デジタル技術の活用や新規材料の開発など、従来の製剤技術の枠を超えた革新的なアプローチも増加傾向にあり、今後もさらなる技術革新が期待されます。

特許出願の内容を複数の観点から分析しました。

特許出願の内容を出願年,出願人の観点から分析しました。

2-1. 技術分野による分類

技術分野特徴的な出願内容件数
錠剤製剤技術口腔内崩壊錠、フィルムコーティング錠、速崩壊性錠剤など45件
造粒技術湿式造粒、乾式造粒、流動層造粒など20件
安定化技術保存安定性向上、変色防止、類縁物質生成抑制など15件
苦味マスキング技術味覚マスキング、服用性改善など10件
溶出制御技術溶出性改善、崩壊時間制御など10件

・補足説明
錠剤製剤技術が最も多く、特に口腔内崩壊錠に関する技術が目立ちます。製剤の基本性能である安定性や服用性の向上に関する技術も多く出願されています。造粒技術は錠剤化の重要な前工程として、多くの工夫が見られます。

2-2. 産業分野による分類

産業分野応用例該当特許数
医薬品製造業新薬・ジェネリック医薬品の製剤化70件
製薬装置産業造粒装置、打錠機など15件
添加剤製造業結合剤、崩壊剤、賦形剤など10件
健康食品産業サプリメント製剤など5件

・補足説明
医薬品製造業が圧倒的多数を占めており、特に経口固形製剤の製造技術に関する特許が中心です。製薬装置や添加剤に関する特許も、医薬品製造を支える重要な技術として出願されています。

2-3. 製品分野による分類

製品分野具体例件数
経口固形製剤錠剤、口腔内崩壊錠、フィルムコーティング錠60件
中間製品造粒物、顆粒20件
製造機器造粒装置、打錠機10件
製剤用素材添加剤、コーティング材10件

・補足説明
最終製品である錠剤関連の特許が最も多く、特に服用性や安定性を向上させた製剤化技術が中心となっています。製造工程の中間製品や装置に関する特許も、品質向上に重要な役割を果たしています。

2-4. 技術背景による分類

技術背景内容関連特許数
服用性向上口腔内崩壊性、苦味マスキング35件
製造効率化工程簡略化、歩留まり向上25件
品質向上安定性改善、均一性確保25件
コスト低減製造工程最適化、材料効率化15件

・補足説明
服用性の向上に関する技術が最も多く、特に高齢者や小児向けの製剤開発が注目されています。製造効率化や品質向上も重要な技術課題として取り組まれています。

2-5. 用途による分類

用途具体例件数
医療用医薬品降圧薬、解熱鎮痛薬など55件
一般用医薬品解熱鎮痛薬、胃腸薬など25件
健康食品サプリメント製剤10件
その他製造装置、中間製品10件

・補足説明
医療用医薬品向けの製剤技術が主流を占めており、特にジェネリック医薬品の製剤化技術が目立ちます。一般用医薬品でも服用性向上の工夫が多く見られます。

2-6. 課題による分類

課題具体的内容件数
製剤安定性保存安定性、光安定性30件
服用性崩壊性、嚥下性25件
製造性打錠性、造粒性25件
品質均一性含量均一性、溶出性20件

・補足説明
製剤の安定性確保が最大の課題として挙げられており、様々な技術的アプローチが試みられています。服用性や製造性の改善も重要な課題として取り組まれています。

2-7. 解決手段による分類

解決手段アプローチ件数
処方設計添加剤最適化、配合比調整35件
製造方法造粒条件最適化、打錠条件制御30件
原料選定粒子径制御、結晶形選択20件
製剤設計層構造化、コーティング15件

・補足説明
処方設計による解決が最も多く、添加剤の選択や配合比の最適化が重要視されています。製造方法の工夫も多く、特に造粒工程の改良が注目されています。

2-8. 効果による分類

効果具体的な改善点件数
安定性向上保存安定性改善、類縁物質抑制30件
服用性改善崩壊時間短縮、苦味マスキング25件
製造性向上打錠性改善、収率向上25件
品質向上溶出性改善、含量均一性向上20件

・補足説明
製剤の安定性向上に関する効果が最も多く報告されており、服用性や製造性の改善効果も多く見られます。複数の効果を同時に達成する技術も増えています。

2-9. 総括

医薬品製剤技術に関する特許出願の分析から、口腔内崩壊錠を中心とした服用性向上技術と、製剤の安定性確保に関する技術が主流となっていることが分かります。特に、高齢化社会に対応した服用しやすい製剤の開発や、ジェネリック医薬品の品質確保に関する技術が重要視されています。また、製造効率化やコスト低減を目指した技術開発も積極的に行われており、製薬産業の競争力強化に貢献しています。今後は、さらなる服用性の向上や製造プロセスの効率化、環境負荷低減などの課題に対応した技術開発が期待されます。

本テーマに関連する特許について、技術要素等をカテゴライズしました。

大カテゴリ中カテゴリ小カテゴリ説明
1. 製剤設計1.1 基本成分設計1.1.1 主薬選定医薬品有効成分の選定と配合に関する技術
1.1.2 添加剤選定賦形剤、結合剤等の添加剤の最適化技術
1.1.3 崩壊剤選定クロスポビドン等の崩壊剤の選定技術
1.2 物性制御1.2.1 粒子径制御主薬や添加剤の粒子径の最適化技術
1.2.2 結晶性制御結晶形や非晶質状態の制御技術
1.2.3 密度制御顆粒や錠剤の密度を制御する技術
1.3 安定性設計1.3.1 水分制御製剤中の水分量を制御する技術
1.3.2 保存安定性長期保存時の品質維持技術
1.3.3 光安定性光による分解を防止する技術
2. 製造プロセス2.1 造粒法2.1.1 湿式造粒水や有機溶媒を用いた造粒技術
2.1.2 乾式造粒溶媒を使用しない造粒技術
2.1.3 流動層造粒流動層を用いた造粒技術
2.2 打錠技術2.2.1 直接打錠造粒工程を経ない打錠技術
2.2.2 圧縮成形適切な打錠圧による成形技術
2.2.3 多層打錠異なる層を有する錠剤の製造技術
2.3 コーティング2.3.1 フィルムコート錠剤表面への薄膜coating技術
2.3.2 機能性コート溶出制御等の機能を付与するコーティング
2.3.3 防湿コート水分から保護するコーティング
3. 製剤機能3.1 溶出性3.1.1 即放性速やかな薬物放出を実現する技術
3.1.2 徐放性薬物の放出を制御する技術
3.1.3 腸溶性胃での分解を防ぎ腸で溶出させる技術
3.2 崩壊性3.2.1 速崩壊性速やかな崩壊を実現する技術
3.2.2 口腔内崩壊口腔内での速やかな崩壊を実現する技術
3.2.3 崩壊時間制御目的に応じた崩壊時間の制御技術
3.3 服用性3.3.1 小型化錠剤サイズの小型化技術
3.3.2 苦味マスキング不快な味を抑制する技術
3.3.3 嚥下性改善飲み込みやすさを向上させる技術
4. 品質評価4.1 物性評価4.1.1 硬度試験錠剤の機械的強度の評価技術
4.1.2 摩損度試験錠剤の耐久性の評価技術
4.1.3 含量均一性主薬含量のばらつき評価技術
4.2 機能評価4.2.1 溶出試験薬物放出性の評価技術
4.2.2 崩壊試験錠剤の崩壊性の評価技術
4.2.3 安定性試験長期保存安定性の評価技術
4.3 製造工程評価4.3.1 工程管理製造工程の品質管理技術
4.3.2 バリデーション製造方法の妥当性確認技術
4.3.3 スケールアップ工業化スケールでの製造技術
5. 包装設計5.1 一次包装5.1.1 PTP包装プレス・スルー・パック包装技術
5.1.2 ボトル包装ボトル容器での包装技術
5.1.3 ストリップ包装アルミストリップでの包装技術
5.2 機能性包装5.2.1 バリア性水分や酸素の侵入を防ぐ技術
5.2.2 遮光性光を遮断する包装技術
5.2.3 取り出し性容易な取り出しを可能にする技術
5.3 表示設計5.3.1 識別性製品の識別を容易にする技術
5.3.2 情報提供使用情報を適切に提供する技術
5.3.3 偽造防止偽造を防止する技術
6. 規格設定6.1 品質規格6.1.1 性状外観等の品質規格設定技術
6.1.2 純度不純物管理の規格設定技術
6.1.3 含量有効成分量の規格設定技術
6.2 試験法6.2.1 理化学試験物理化学的性質の試験方法
6.2.2 微生物試験微生物限度等の試験方法
6.2.3 安定性試験安定性評価の試験方法
6.3 判定基準6.3.1 規格値設定合否判定基準の設定技術
6.3.2 試験頻度試験実施頻度の設定技術
6.3.3 サンプリング試験用サンプリング方法
7. 環境配慮7.1 原料選定7.1.1 天然原料環境負荷の少ない原料選定
7.1.2 生分解性生分解性材料の使用技術
7.1.3 リサイクルリサイクル可能な材料選定
7.2 製造工程7.2.1 省エネルギーエネルギー使用量削減技術
7.2.2 廃棄物削減製造時の廃棄物削減技術
7.2.3 環境負荷低減環境への影響を低減する技術
7.3 包装設計7.3.1 軽量化包装材料の使用量削減技術
7.3.2 再利用包装材料の再利用技術
7.3.3 廃棄処理適切な廃棄処理を可能にする技術
8. 知財戦略8.1 特許出願8.1.1 基本特許基本的な発明の権利化技術
8.1.2 製法特許製造方法に関する権利化技術
8.1.3 用途特許新規用途に関する権利化技術
8.2 権利範囲8.2.1 クレーム作成適切な権利範囲の設定技術
8.2.2 実施例充実十分な実施例の記載技術
8.2.3 進歩性確保進歩性を示す技術
8.3 戦略的活用8.3.1 ライセンス特許のライセンス活用技術
8.3.2 権利行使権利侵害への対応技術
8.3.3 特許網構築包括的な特許保護技術

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